Little AngelPretty devil 〜ルイヒル年の差パラレル

    “5日間の休暇 オフ
 



          



 賊徒学園高等部アメフトチーム“賊学カメレオンズ”は、春季大会東京地区予選を怒涛の勢いで勝ち進んでいた。色々と効率がよくなり自由になる時間が増えたがための嗜好の多様化と、様々なメディアによる飛躍的な情報伝播力の恩恵とにより、日本人も色々なジャンルのスポーツに手軽に親しむことの出来る機会が広がったその結果として。それまでは映画やドラマの中でアメリカンな雰囲気を盛り上げる小道具のようなものに過ぎなかったろう このスポーツも、今や結構な速度と深度で一般へと広まりつつあり。まずはの取っ掛かり、この世代から本格的に始める者が多い高校生たちの選手権。新興チームも徐々に増えつつあり、その裾野も広がりつつあるとはいえ…古豪だろうが新参だろうが実際に関わっているのは同世代の若者同士である筈なのに、それでもやはり何かがどこかが違うのか。過去から脈々と紡がれて来た“魂”を継いだ者にだけ備わる、自信や貫禄というものが作用するか。よほどの超新星でもなければそうそう勝ち残れないのが、不思議と言えば不思議な話。特別な練習法とかがあるんですかね?
“有名校には設備や指導者も恵まれてっからって自然と沢山の志望者が集まる。そうなれば、学内での競争や切磋琢磨の度合いも激しくなって。その結果、飛び抜けて優秀なのしかレギュラーになれない…からなんじゃねぇの?”
 いやん。そんな、他のスポーツでも同んなじな、通り一遍なお答えじゃあ詰まらないじゃないのよう。
“モチベーションというか…心根とか根性とかいうのも、最終的には結構関係してくるんじゃねぇの?”
 古臭いとか汗臭いとか言われそうな、古風で頑迷そうなフレーズだけれど。諦めない粘り強さだと置き換えれば、いつの時代のどんなスポーツにだって必要不可欠な要素には違いなく。
“汗かくのダサイって思う奴なら、最初っから参加してねぇっての。”
 スマートに余裕でこなせれば勿論のことカッコいいけど、現実ってのはそうそう上手くは運ばないからね。感情まで捨ててんじゃないかってほど練習に明け暮れた“鬼”が立ち塞がれば、普通にしか励んで来なかった者がスタミナや気魄で劣るのは自明の理。それでも負けたくなければ、尻に火を点けてでも踏ん張るしかない。カッコ悪くたって良いじゃんか。欲しいものを目指してのことなんだもん。なりふり構ってられなくたって、それこそ構うこたないじゃんか。同じもんに関わってる奴らを全て凌駕しての“一等賞”を目指して何が悪い………っていうよな、筋道が立ったお答えを、そりゃあ流暢に返して来たのは、どこから見たってちんまりとした、手折れそうなほどに華奢な体躯の、小学生だろう幼いお子様。降りそそぐ目映い初夏の陽光に、絹糸のような金の髪をきらきらと光らせて。グリーンをベースカラーにしたユニフォームを着た、そりゃあ屈強なお兄さんたちに混ざって、ゲームの進行状況に合わせ、懸命に大きな声を張り上げている、チーム・マスコットの坊やであり、

  「…っ、いっけーーーっ! ルイっっ!」

 相手陣営のランニングバッカーが、エンドゾーン目指して飛び出して来たのへ、絶対通させんなと絶叫する。快進撃にて準々決勝まで勝ち上がり、堂々の“ベスト8”に残った彼らだったが、ここで当たった相手は何と…昨年立ち上げられたばかりという新進チームの“泥門デビルバッツ”というダークホース。これまでの2大会を出ると負けで過ごして来た弱小チームだったのが、今春はしっかり駒を揃えて来たものだから、ここまでで古豪さえ蹴倒して来た筈の、やはり新鋭“カメレオンズ”が思わぬ苦戦を強いられており。わずかにキックによる得点分の3点をこちらがリードした状態にて、ゲームは膠着状態のまま、第4クォーターの残り1分弱へまで進んでいて。
「通すな、止めろっ!」
 小兵のくせにとんでもない脚をしているランニングバック。思えば、新鋭のデビルバッツがここまで勝ち上がって来たのも、この春から加入したその彼の、途轍もない脚の恩恵に預かっているきらいが多々あって。
“きっちりチェックしてあったのにな。”
 得体が知れないダークホースほど怖い存在はないからと、坊やもわざわざ相手校まで“偵察
(スカウティング)”に運んで丹念に資料を集めておいたのに。
“データ以上の脚をしてやがる。”
 何しろこんな小さな坊やだけに、どこのガッコへ潜り込んでも警戒されたことなぞ一度としてなかったし。泥門へ行った時だって、決して巧妙に隠されたような気配はなかった。というよりも、この大会が始まってからこっち、試合を重ねるにつれてどんどんとその速力を速め、技術的なものも吸収していった彼だったから。先の3回戦…逆シードがかかってた彼らには4つ目の試合での彼の走り
(ラン)のラップも、メグさんと協力し合って一応測り直し、データ修正をしておいたのに。
“40ヤードを4秒3、いやもしかして4秒2を切って走ってるかも?”
 となると、NFLのスタープレイヤーの出す記録だ。まるで、宙を翔
(か)けるのが楽しくって仕方がない、若い鷹かハヤブサのように伸び伸びと、試合を重ねるごと成長してゆく恐るべき新入りということか。片や、相手の攻撃を阻むのが役目、立ちはだかったりタックルで仕留めたりと、何がなんでも敵の突進を制するのが役目のラインバック、チームの主将でもある葉柱が、この試合の中でももう何度目になるのかという防御に飛び出す。自慢の腕の長さ(リーチ)をもってしても、二度に一度は掻いくぐられてる。気迫では決して押されてはいないが、勢いがある同士の対決では、微かな迷いさえその気勢を挫いて失速させるバランス倒壊を招きやすくて。
「…っ!」
 すぐ傍らを擦り抜けられたカメレオンズのラインの一人が、執念を見せてか…振り切られかけた刹那、振り返りざまに伸ばした腕が、そのランニングバッカーの二の腕を押した。相手も失速すれすれだったか、思わぬ方向からの力にたたらを踏みかけ、随分と不自然な方向転換を余儀なくされて………。

  “え………?”

 見守る誰もが予期しなかったこと。彼こそがタッチダウンを決めるべき、言わば“ポイント・ゲッター”であり、チーム全員の総意と希望をその双肩…もとえ、健脚に乗せてフィールドを駆けていたんだろうに。

  ――― バランスを崩してたたらを踏んだその弾み、
       倒れそうになった人間は一般的にどんな行動を取るだろうか。

 それなりの心得がある者ならば、余計な怪我を負わないようにという“受け身”が取れる。アメフトの場合、ボールを落としたら最後、攻守が変わってしまうので、転びそうになったらばボールはしっかと胸に抱いて倒れるのがセオリーだが、そのランニングバッカーくんは…なんと、走るためのバランスを取って大きく振っていた空いてた片腕を、宙空にすがるものでも探しているかのように振り回して見せたのだ。せめてボールを死守せんと、素早く切り替えられなかった彼なのか。それとも…まさかまさかもしかして。この人、ホントはずぶの素人なんじゃあ。
「わっ、たっ、とっ。」
 片腕だけでの悪あがきは、却って彼の身体のバランスをますますと崩してしまい、ボールを抱えている側を下に、地面へ倒れ込まんとしている。そのまま倒れてくれればこちらの攻撃…だとはいえ、そうなるのを待って、黙って見ているもんじゃあない。
「ボール、奪れっ!」
 叫びながら自分も駆け出した葉柱とカメレオンズの面々と、無論のこと、味方のフォローにと突っ込んでくる敵方の選手たちとが、激しくクラッシュしかかったのだが、
「ひぃゃあ〜〜〜っ!」
 自分へと殺到してくる全選手という構図に、怯えたような声を放った俊足ランニングバッカーさん。咄嗟に身を縮めたのが幸いし、体の向きが なお90度ほど回って…仰向けとなる。そうなった彼の視野に入ったのが仲間のワイドレシーバーさんだったもんだから、後は頼むと…後方にいたその彼へと放ったボール。

  ――― ほんの一瞬、刹那の間にこれだけのことが出来たんだから、
       アメフトは素人でも、スポーツへの勘は鋭いらしかった彼であり。

 しまった、そっちだ、WRを潰せっ! 標的が急に変わったという“現状”を、頭ではしっかと把握したものの。怒涛の勢いで駆けつけかけてた、しかも敵味方ごちゃまぜの奔流はそう簡単には矛先を変えられなかった。もうボールは持ってないランニングバッカーさんをゴールに押し寄せた選手たちという大津波の中、何とか掻いくぐって飛び出したWRさんを、せめて葉柱が腕を伸ばして捕らえようとしたものの、
「チッ!」
 残念ながら、わずかに及ばず、

  「あ………っ!」

 突発事に翻弄されての思わぬ運びが生んだ、ラッキーとアンラッキー。WRさんが必死で走って逃げて逃げてのタッチダウンが決まってしまい、何とも呆気ない展開でもって、緊迫の膠着試合はあっと言う間に引っ繰り返った。トライ・フォーポイントもキックで決めて、得点差は4点。
「切り替えろっ!」
「取り返すぞっ!」
 攻守交替。だが、もう既に時間がない。パスか走
(ラン)での得点でなければ一発逆転は無理。相手キックを受け止めたQBが、残りラップに追われて素早くパスを通したのは、なかなか上出来の深い位置にいたレシーバーへだったが、それでも時間は足りなくて。

  【試合終了〜〜〜っ!】

 あああ、なんてこと。あと一歩だったのに。何たるどんでん返しが起こったものやら。がっちがちの守りに入っていた訳ではなかったが、油断すればどうとでも引っ繰り返されるような僅差だったから、どうあっても隙は見せられないぞという緊迫感に支配され、思わぬ力が入っていたか。メンバーたちがあちこちで膝を折っては崩れ落ちるのを、
「〜〜〜〜〜。」
 こちらも口惜しげに唇を噛みしめて、だがだが、眸だけは逸らさぬままで、坊やもきっちりと見守り…見届けた。あまりに不意打ちっぽい幕切れだったのへ、フィールドに膝を落とし、力なく座り込んでしまった仲間たち。そんな彼らへ一人一人手を貸しては、立たせてやる主将さんであったから。とうとう準決勝へ進出だと、喜び弾けている相手チームの面々のはしゃぎようや、スタンドから沸き起こる様々な歓声が、こっちの胸には痛かったけれど。優勝する1校以外は、どのチームだって1敗するんだし。同じ負け数、どこで味わうかの違いだけ。それがトーナメントだ。レフリーさんの待つところに並び、礼をして相手のベンチへも一礼をしにゆき、戻って来た面々へ………何を言ってやれば良いのやら。去年の秋季大会はサ、ちょうどトーナメント最後になった試合の直前にルイと大喧嘩してたから。その後に催された、残りの代表枠を巡る“プレーオフ”も…坊やにはガッコがあったからね、惜敗に打ちひしがれる彼らという、こんな姿は結局見てはいなくって。ここまでを絶好調のうちに一気に駆け上がって来た彼らなだけに、悔しいという想いだって一入
(ひとしお)なんだろな。入ったばっかの1年が、汗と砂とでどろどろになった顔のまま、人目も意に介さないまま ぼろぼろ泣いてる。そんな彼のプロテクターで張り出した肩を、無言のままにどやしつけているのは、同じポジションの先輩で。誰もが何を言えば良いのかと、切ない想いをそれぞれの胸から吐き出せないままになっている。メグさんまでが黙っているから、練習中はともかく、本番では見ているばかりで何もしてやれなかった自分なんか、尚のこと、何にも言えないじゃんかと。溜息さえ零せずに息を詰めてたら、

  「おらおら、何をしょぼい顔してやがんだよっ。」

 さすがに“笑って”はいなかったけれど。そんな声を皆に向けて鋭くも放ったのが、
「ヘッド…。」
「総長。」
 脇にヘルメットを抱え、その大きな手からグローブを外しもって、ベンチへは最後に戻って来た葉柱で。グリースだかワックスだかで整えてたセットが崩れかけてる、直毛の黒髪を、首の一振りで“ふるり…”と揺すり上げると、
「とっとと切り替えな。秋の大会までの練習に使える時間が増えたんだぜ? こっから残ってる奴らの戦力を、じっくり検分だって出来るしな。」
 大会中はどうしても、試合直前に調整やら体力温存やらが要る。肝心の本番を前に、練習のし過ぎで疲れてしまっていては話にならないからだ。秋季大会の後もそれなりの筋トレや基礎トレは積んでいたものの、新加入の面々を対象とした…スタミナにせよ筋力にせよ、思い切った体力増強だとかには、さすがに春合宿だけでは時間が足りなくて取り組めなかったから。
「急造なトコが多々あったにしては、スタミナも連係も集中も、ここまでなかなか保った方だった。」
 今の面子でのこの陣営を一夏かけてじっくり練り上げて、秋の本チャンに備えようやと、サバけた口調で、だがくっきりと、腰の入った、芯の通った声音で言い放てば、

  「そうだよな。」
  「春は力試しなんだしよ。」
  「秋へ切り替えにゃあな。」

 慕ってた人からあまりに力強い“弾み”をもらったもんだから、悔しさや泣き言さえもが一遍で昇華した。メンバーたちの打って変わっての立ち直りの素早さへ、古株の面々は思わずの苦笑が絶えず、
“…ったく、単純な奴らだよな。”
 内心でそんな言いようをしちゃった坊やも坊やで、お胸の中にて苦々しくも重いのが膨らみかかっていた筈が、
「お前も応援ご苦労さんだったな。」
 大好きな手のひらが降りて来て、髪をくしゃって撫でてくれたのへ。仔猫みたいに首を竦めながら、擽ったげに笑えたの。そのまま皆で“どっかに寄ってこう、残念会だ”って話がまとまってね。それぞれ、乗って来た愛車に跨がるやら最寄りの駅に向かうやらして、いつものご贔屓の炉端焼き屋で再集合することとなって。坊やは当然、葉柱のお兄さんのゼファーでのタンデム。途中でガソリンスタンドに立ち寄って、一緒に背中を伸ばしてた時にね、傍らにいた彼に“屈め”と指示してから耳元でこっそり一言、こう言ってあげたんだって。

  「カッコよかったぞ、ルイ。」

 ボケのつもりか“負けたのにか?”なんて、全然可愛くねぇこと言い返して来たルイだったけど、今日はツッコミ代わりに蹴るのも無し。殊勝なことや しおらしいことは、それこそ照れ臭いし、何か俺の柄じゃないからさ、わざわざ言ってはやれないけれど。俺、ルイみたいな兄ちゃんの“連れ”になれて良かったって、今日はしみじみ思ったもん。負けたのに嬉しくて、負けたのに何か ほこほこしちゃってて。ゴールデン・ウィーク終盤の子供の日。気の早い初夏の訪れを感じさせるような陽気の名残りのせいもあって、暑いくらいだった一日がそろそろ暮れ始めますよと陽を傾け始めてた中での、ちょっぴり切ない一幕で。


  ………だからサ、まさか。


 今日の試合で負けたら、そんなことになるんだなんて。全然全く、思いも拠らないでいた俺だったんだ。









            ◇



 割と整然とした、先を急ぐ人の流れ。人声は少ないが靴音は結構なそれという雑踏の中で、誰かに呼ばれたような気がして振り返れば、朝一番の情景にしては黒が目立つモノクロォムの人込みの中、やけに鮮やかな色彩をまとって浮かび上がる彼の姿。淡い色めの髪に肌にと、原色によるような力強いアピールは少ない風貌の彼だのに、この場には不似合いな可憐さのせいか、それとも…この自分をこそ真っ直ぐ見やっていたせいだろうか、そこだけが妙に印象的に冴え映えていて。
「…なんで。」
 まさか来るとは思わなかった。そんなに驚かなくたっていいじゃないかと口許を尖らせた彼だったが、だって、
「お前、学校は?」
「今日は土曜だぞ?」
 ルイのあほと付け足された、辛辣な言いよう。小生意気に言い返して来る様子はいつもと変わらないけれど、表情がどこか…日頃の溌剌とした力みを失
(な)くして覚束ない。何より、こんな時間帯に家から結構距離のあるこんな遠い駅まで、休日の小学生がたった一人で足を運ぶだなんて。不景気の昨今は、どこもかしこも週休2日制という訳じゃない。GWへ追加しての有給だってそうそう誰もが取れる訳ではないのだから、電車だって結構 混んでいただろう。大変なことだったに違いないのにと思えば、それに気づいた途端から、この胸が柄になく痛くもなる。何でいつもみたく自分を“足代わり”に呼ばなかったと訊きかけて………ああそうか。
“出来るわきゃねぇか。”
 此処から列車に乗り込んで旅立つ葉柱であり、そんな自分をこそ、こうやってこっそりと見送りに来た彼なんだろうから。そんな実情を思い出すことで…我に返った総長さんは、ともすれば睨みつけるようなお顔で仁王立ちになってた坊やの細い肩に手を置き、何とも言えない表情をする。こんな時にこんないじらしい顔をするのは反則じゃないか。何日か前に話した時だって、ほんの何時間か前という昨夜だって、寂しいんじゃねぇのかと電話越しに訊けば、ルイこそ せいせいすんじゃないのかと、いつもの減らず口で元気に笑い飛ばしていたくせに。

  「………なあ。」
  「んん?」
  「俺、やっぱ、行くの辞めようか?」
  「ば〜か。」

 湿っぽい顔すんじゃねーなんて、大人ぶった言いようをするが、それを言うならお前のその…どこか悲壮な顔は何なんだよ。
「今日からは、俺んこと、携帯1本で呼べねぇんだぞ?」
「…判ってる。」
 平気だもんよと言い返す語調が、やっぱり力なくって気になって。
「大丈夫だってば。ルイこそ楽しんで来いよな。」
 土産にって詰まんねぇもん買ってくんなよ?と、やっと何とか…少しは元気を盛り返して笑う彼だが、

  “………馬鹿野郎。”

 こんな顔したお前んこと、此処に独り、置いてけって言うのかよ。いつもより小さく見える肩の、浅い色合いのパーカー越しに伝わってくるほのかな温もりさえ胸には痛くて。見送りなんて残酷なこと、してんじゃねぇよ、ったくよォ。










  「………そんな大層なお別れっスかね。」
  「それを言うのは勘弁してやんな。」
  「そうそう。あの二人が正味6日も離れるなんて、
   これまでに一度だって無かったことなんじゃないのかねぇ。」

 5泊6日の修学旅行。長崎を中心にした九州歴史の旅というのへ参加することとなった、総長さん以下、賊徒学園高等部二年生メンバーの方々であり、
「まだ辛うじて大会に参加中だったなら蹴れたんだが、ぎりぎり間に合うタイミングで負けちまったからねぇ。」
 学校行事の旅行なんてあんまり面白いもんじゃなかろうからと、どっちでも良かった面々だったが、
「ああまでの愁嘆場を見せつけられるとは思わなかったねぇ。」
 メグさんが苦笑し、
「こっから先も、何かと思い出深い旅になりそうだよな。」
 しょっぱそうなお顔になったのがツンさんならば、
「センセ、もうちょっと待ってやんな。」
 そろそろ出発時刻なんだがと呼びに来た引率の教師を、羽交い締めにして引き留めているのが銀さんだったりし。とんだ事情から今日も入れての6日、離れ離れとなる二人は、果てさてどうなってしまうのか。


   ……………………… 後半へ続きます。(まだ書くか)










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  *いやぁ、ついつい思いついたネタでして。
   そんな酔狂のために負かされてしまった賊学の皆さん、すまないです。
(苦笑)